皆さんは車検を「自分で受けられる」ということを知っていますか?車検を自分で受検することを「ユーザー車検」といいます。今回はじめてユーザー車検を受けてみたので、その様子や掛かった費用などについてご紹介したいと思います。
今回ユーザー車検をした場所は「八王子自動車検査場」で、検査車両は普通車プリウスです。場所や車種によって異なってくる部分はあると思いますが、参考程度に見ていただければ幸いです。
1.全体の費用
今回の車検で実際にかかった費用は総額で「45,650円」でした。
以下はその内訳です。
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【自動車重量税と検査手数料】 26,900円
・検査手数料 : 1,900円
・自動車重量税 :24,600円
・技術情報管理手数料 : 400円
【自賠責保険料】 17,650円
【整備費用】 1,100円
・ヘッドライト調整費用(再検査のため予備検査場で調整)
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このように普通車でも車検と整備費用合わせても5万円前後で受けることができます。
もちろん車種や車の状態によっても変わってくるので一概にはいえませんが、車検を代行すると10万円以上かかることも多いので、「ユーザー車検」にするだけでかなり費用が抑えられることがわかります。
2.用意したもの
車検を受けるために持って行ったものは以下の2点です。
- 車検証
- 自賠責保険証明書
今回は、この2点の書類で受検することができました。
他にも、自動車税を納税したばかりでシステムに反映されていないなどの場合に「自動車税納税証明書」が必要になることもあるようです。
3.「ユーザー車検」の流れ
1)事前にインターネット予約
電話予約は受け付けていないので、「自動車検査インターネット予約システム」で事前に予約を取ります。「軽自動車」の場合は、こちらのサイトから予約をします。
①アカウントを作成する
②検査の予約をする
【検査種別・検査車種選択】
通常の2年ごとの車検をおこなう方は「継続検査」を選択しましょう。
【予約検査場選択】
継続検査は全国の検査場で受けられます。
【受検日時選択】 (予約時間は4部制で平日のみ)
ラウンド | 1ラウンド | 2ラウンド | 3ラウンド | 4ラウンド |
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受付時間 | 08:50-10:00 | 10:00-11:45 | 12:50-14:00 | 14:00-15:45 |
検査時間 | 09:00-10:15 | 10:30-12:00 | 13:00-14:15 | 14:30-16:00 |
③予約完了メールを受け取る
2)当日、運輸支局で書類を記入
運輸支局に車を持ち込み、まずは申請書類の記入をします。
敷地内は広く、窓口と検査場は別棟になっています。まずは「自動車検査登録事務所」に向かいましょう。
「継続検査」と「新規」は別々の窓口になっています。「継続検査」の場合は、窓口で申請書類を受け取ります。下記3点の書類を受け取り、見本を見ながら必要事項を記入しましょう。
- 自動車検査票
- 自動車重量税納付書
- 継続検査申請書
3)各種費用の支払い
必要書類の記入ができたら、次は「重量税・検査手数料」と「自賠責保険料」の支払いをします。
別棟にある「自動車登録番号票交付所」に移動し、窓口で手続きをおこないます。
「税金・検査手数料」と「自賠責保険料」の窓口は別々になっているので、注意が必要です。
【支払い方法】
・重量税と検査手数料:「現金」または「クレジットカード」※クレジットカード払いの場合は事前にインターネットからの登録が必要になります。手数料もかかるので、現金払いがオススメです。
・自賠責保険料:「現金」のみ
4)窓口で受付し、検査コースへ移動
支払い手続きが済んだら、また「自動車検査登録事務所」に移動し、窓口で受付をします。
受付後、車に乗り検査コースに移動します。
検査コースでは受付時に指定されたコースに並びます。
八王子の検査場の場合は「3コース」が不慣れな方向けのコースでした。それ以外だと案内誘導ができない場合があるそうです。
5)検査
【事前準備】
- 手荷物以外の荷物は降ろしておく。
- 期限が切れた点検ステッカーは剝がしておく。
- ヘッドライトの光軸調整ダイヤルを「0」にしておく。
【検査の流れ】
・検査員による直接検査(コースへ入る前)
ライト類の点灯確認、ウインカー、クラクションなどが正常に動作するかの確認
↓
・機械による検査(コース内)
スピードメーター、ブレーキ、ヘッドライト、排ガス、サイドスリップ(左右のずれ)が基準値内に なっているかの確認
↓
・合否
検査結果はモニターで〇か×で表示されるので、その場ですぐにわかります。
※検査が不合格だった場合、近くの整備場で直してから再検査が必要です。再検査を受けるときは、再度窓口に行かなくても大丈夫です。直接検査場に行き、再検査だということを伝えれば受けることができます。1回の予約で3回まで検査を受けられます。
6)新しい車検証を受け取る
無事検査に合格することができたら、最初に受付をした「自動車検査登録事務所」に移動します。窓口で検査書類を提出し、ここで新しい車検証を受け取ることができます。同時に「検査標章のステッカー」も交付されるので、すぐに新しいものに張り替えましょう。
4.検査項目
・外観確認
クラクションやワイパーなどの動作確認や、ウィンカーやブレーキランプなどの点灯確認といった運転中に操作する部分の検査をします。また、車体やミラー、タイヤなどの基本的な車の外回りついての検査もします。検査員の目視や検査用ハンマーによって確認します。検査員の指示通りに操作しましょう。
・スピードメーター検査
速度計の表示の「誤差」を検査機器を用いて確認します。基準値は、時速40㎞の表示時に実際の速度が、31.0㎞/h以上、42.5㎞/h以下とされています。コース内に設置されているローラーにタイヤを乗せて検査が行われます。検査員やモニターに表示される指示に従って操作しましょう。
・ブレーキ検査
フットブレーキとサイドブレーキの「利き具合」や「左右差」、「引きずりの有無」などを検査機器を用いて確認します。ブレーキは「思いっきり踏み込む」のがポイントです。
・ヘッドライト検査
ヘッドライトの「明るさ」や「向き」が基準値を満たしているかどうかを検査機器を用いて確認します。検査前にヘッドライト光軸調整ダイヤル(手動式レベライザ)を「0」に合わせておく必要があります。不合格になりやすい検査なので、事前にヘッドライトの汚れを磨いて落としたり、予備検査場で調整したりしておいたほうがいいかもしれません。
・排出ガス検査
排気ガス中の「一酸化炭素(CO)」と「炭化水素(HC)」の濃度及び黒煙の汚染度などが基準値以下かどうかを検査機器を用いて確認します。マフラーに検査用のホースを入れておこないます。ハイブリッド車の場合は、省エネモードを解除する必要があるので、検査員に聞いてから検査をおこないましょう。
・サイドスリップ検査
走行時の「横すべり量」が基準値以下になっているかを検査機器を用いて確認します。ローラーの上にタイヤを乗せておこないます。
5.知っておくべきこと
・「検査コース」の事前見学
ユーザー車検はすべての車両操作を自分で行わなければいけません。そのため、はじめてユーザー車検を受ける方は、事前に検査項目や検査コースを見ておくことが推奨されています。
・「再検査」は2回まで
1回の予約で3回まで検査を受けることができます。ただ、再検査になると一度予備検査場などで調整してから再検査を受けることになるので、少し手間がかかります。一発合格を目指したい方は、事前に予備検査場で調整しておくのがいいでしょう。
・「車検」と「点検」は違う
「車検」では車のメンテナンスはできません。車検は、検査時点において車が「安全・環境基準」に適合しているかを、一定期間ごとに「必要最低限のチェック」をしているものなので、安全性の保証はされていません。別で「12か月点検(法定点検)」を受ける必要があります。運輸支局では、事前に点検をしてからの受験を推奨しているようです。
6.まとめ
今回はじめて「ユーザー車検」を受けてみましたが、職員の方も丁寧に教えてくれるので無事に車検を通すことができました。平日の日中に休みが取れる方であれば、費用も抑えられ、車の知識も身につくので一度挑戦してみてもいいかもしれません。